接客と接遇は、どちらもサービス利用者に対する応対を指す言葉であるが、それぞれ異なる意味を持っている。

接客とは、顧客に接し求められているサービスを提供することを指している。日常的に使われることも多い言葉であり「接客が良かった」、「あの人の接客は悪い」などというように使われる。

一方、接遇は、顧客と接して遇することを意味する言葉だ。遇するという意味は、人をもてなすことだ。接遇は、接客よりも顧客の満足度を重要視し、相手に喜んでサービスを利用してもらうためスキルなどの様々な要素を含んでいる言葉だ。例えば、食事を配膳するだけでも、ただ料理を並べるだけでは接客であるが、相手と目を合わせたり、もてなしの言葉をかけたりすることが接遇となる。マニュアル通りの対応ではなく、相手の気持ちに沿って応対することが大切だ。

接遇は、サービス業で用いられていた概念であるが、介護の仕事においても重要視されている。介護業界では、人手不足が問題となっており、接遇やマナー研修に取り組むことが難しい面もあるが、高齢者の方から安心で信頼できる介護サービスを提供するためにも、接遇は欠かせないスキルだ。

介護職は、利用者と深く接する立場にあり、不安な気持ちを抱えて生活する利用者に寄り添うためにも、接遇を身につけることは役立つ。特に、毎日の挨拶やゆっくりで分かりやすい言葉遣いを心がけることは重要だ。利用者とその家族から信頼され、頼ってもらえる存在になるためにも、接遇スキルは介護の仕事をするうえで是非身につけたいものであると言えるだろう。